数学で学ぶ化学工学11話

   とても実用的な本です。システム工学をやりたいと思う私にとって、この本はかなり勉強になりました。本の表紙の文言をご紹介します。

    材料、装置、そしてプロセスの設計は文章では行えません。数学が強力な武器となります。本書では、化学工学を学ぶ上で真に必要不可欠な数学を紹介します。

    対立する概念のわかりやすい説明から本書はスタートしています。ところで皆さんは下記の対立語のペアをすっきり説明できますか?

 平衡論(equilibrium)vs 速度論(non-equilibrium)  
 定常(steady)vs 非定常(unsteady)  
 観察される(observed)反応速度 vs 真の(intrinsic)反応速度 
 決定論(deterministic)vs 統計論(stochastic) 
 モデル(model)vs 現実(real) 

    なかなか難しいですよね。本書に書いてありますから気になる方は読んでみてください。一番最後の「モデル」について。「モデル」という概念はこの「現実」との二項対立でとらえるとすっきり解釈できます。つまり、「モデル」というのは理想化された状態を具現化したものということです。職業のモデルさんも同じですよね。ある種の理想化された状態というか。例えば、売りたい商品をもっとも理想的に具現化できる人というわけです。理系学問でも一緒です。数式モデル、立体構造モデル、モデル系などなど。ただ、これらの場合は現実の現象をなんとか記述しよう、表現しよう、というニュアンスが含まれますがね。

    さらに、理解を助けるかわいらしいイラストもgoodです。座標系の説明の際、直角座標はサイコロステーキ、円柱座標はソーセージ、球座標はミートボール。なんてわかりやすい、イメージを想起させる説明なんだと感動しました。