行動しながら考えよう 研究者の問題解決術

     目次をパラパラみて巷に出ているような自己啓発本かなと思って読んでみましたが、内容はかなり深いです。著者の島岡先生 (現三重大教授、ハーバード大学医学部でPIでした。) が悩みに悩まれ、ご自分なりの回答を出されていることがよく伝わってきます。関連書籍の引用も適切でとても読みやすいです。文中には偉人や哲学者の言葉も登場するのですが、この名言をこの文脈でこのように引用するとこんなに説得力が出るのか、文章作成のスキルアップにも大いに参考になります。内容を一つだけご紹介。プラン(plan) とプランニング (planning) の違い (P.37)。プランではなくプランニングが大事なのだと、アイゼンハワーアメリカ大統領の名言を引用して説明しています。このあたりのページの結論ははっきりいって陳腐ですが、現在形と-ing形で全く意味が変わってくることが私には新鮮な驚きでした。なお、羊土社HPより内容の一部が読めます。リンクはこちら。また、↓のリンク先 (アカデミアの方のブログ?) に内容紹介含めた書評記事があります。こちらの記事もよく書かれています。
http://blog.hypoxia.jp/hypoxia-reseacrh/18337.html

     この本を読んでみての創造性発揮のポイント。それは、ずばり、「人生 (≒生活) の問題」にけりをつけることです。創造性発揮のために、あえて科学・研究以外の問題を解決から着手する、とはなかなか思わないのではないでしょうか。しかし、まえがきで書いてあるように、不安にさいなまれて研究に落ち着いて取り組めないと感じる方は少なくないはずです (「どんな環境でもデキる人はデキるのだ」と言われても困りますよね。デキないから悩むのに。。。環境改善を考えたくなるのは自然な発想でしょう。)。同じようなことを、あるプロスポーツ選手が言っていたのを覚えています。元・女性プロゴルファーの宮里藍選手です。ひと昔前、彼女がインタビュー時に、「ゴルフのためにゴルフ以外のことを頑張る」と言っていて、とても感動したことがありました。創造性を引き出すためにあえて、創造性と関わらないところから手をつけるのはアリ、なのかな。