内向型人間のすごい力  静かな人が世界を変える

    3章の「共同作業が創造性を殺すとき」 (p.112-) は衝撃的でした。チームワークを優先させ、社交的な場をもたらされるとする状況を「新集団思考」と手厳しく批判しています。「一度に二つのことをこなしているように見えても、実は二つの作業のあいだを行き来しているだけで、生産性を低下させ、ミスを最大で50%も増加させる。」と述べています。舌鋒鋭いとはまさにこのこと。 さらに、ブレーンストーミング神話の崩壊 (p.139-) というセンセーショナルなトピックもあります。本書によると、ブレーンストーミングが失敗する理由は①社会的手抜き (他人任せ) ②生産妨害 (他の人発表中は黙るしかない) ③評価懸念 (他者からの評価懸念) とのことでした。ただし、共同作業に異議を唱えるこの主張は、研究開発におけるすべてのステップに該当するとは私は思いません。ただ、アイデアやコンセプトなどの構想を練るところはいくらかあてはまる部分はあるのではと思いました。本書は一貫して社会的実験の結果を踏まえた上で論旨が展開されています。根拠に基づいて主張がなされるので、一定の納得感は得られると思います。内向型性格を自認され、うーんと悩まれている方は本書を読むことを強くおススメします。

 また、11章の「静かな子供をどうしたら開花させられるか」の内容は内気なお子様の子育てにも参考になりそうな内容でした。こちらのお悩みをもつ方にもご一読をおススメします。