『仕事の速い人は150字で資料を作り3分でプレゼンする。 ~「計って」「数えて」「記録する」業務分析術~』

    今回の本はいわゆるハウツー本です。ですが、スライド・資料作成のハウツー本に飽きてしまった方に特におススメしたいです。著者は仕事の分析「計る」「数える」「記録する」の必要性を説いています。特に、各々の仕事というマニュアルや教科書がない分野やタスクに関しては、お手本となる社員の資料を徹底的に調査することが大事だと主張しています。例えば、パワーポイント1枚のしゃべる時間を「計る」、ワード資料の文字数を「数える」、顧客と会った回数を「記録する」という一連の作業を行うことの重要性を指摘しています。似たような趣旨の書籍も巷にはありますが、根本の考え方まで述べているものは寡聞にしてあまり知りません。また、著者のおすすめするフォントサイズやグラフの種類を挙げているので、どれを使えばいいか迷ったときには参考にされてもいいかと(私も一部使っています)。資料作成だけでなく、講演や交渉・対話に対しても「計る」「数える」「記録する」ことの実践例も提示しています。講演内容に対してもこのような分析をせよという視点は新鮮でした。

 社内外の動向を探るために、複数テーマ・プロジェクトの数や推移を「計る」「数える」「記録する」方はいらっしゃると思います。一方で、その分析を資料作成や発表などの、個々の業務にまで適用される方は多くないのでは 。正直、そこまでするのはちょっとめんどくさいかもしれません。もちろん、資料作成に関するテクニック自体はこの本に書いてあるような基準をご自身の好みに合わせて使ってもいいのかなと。ただ、「はじめに」に書いてあるように、(資料作成に関わらず)巷に知られていない事実を自分の分析によって初めて知る、という行為自体は確かに愉しいです。時間や手間がかかりますが、いったん分析してしまえば別分野にも応用がききそうな感じもします。