PTA、やらなきゃダメですか?

 まず帯が目を引きます。”子どもは「人質」、親は「奴隷」!?” なんというキャッチコピーなんでしょうか?どうやら、奴隷、人質は江戸時代に終わったものではないようです。次に内容について。事実は小説より奇なり。PTAってこんな組織なんですねー。PTAのリアリティが赤裸々に書かれています。PTAの会長が入学式の“お手伝い”をこれほどまでに仕切らなくてはならないんですね。てっきり、若手の教諭がやっているもので、PTA会長は当日のお話だけかとばかり思っていました。入学式の準備だけでもこんなに大変なのかと。PTA会長だけでなく、その他の係の仕事もなかなかにハードです。そういえば、私の母もPTA集会のときはグチグチしていたような。。。この本は著者のPTA会長奮闘記です。著者はPTAを現行の義務制度からボランティア制度に改編するというかなり大胆な試みを行っています。賛否両論の中、どう粘り強く改革を断行したのかという熱意とプロセスが事細かく示されています。あらゆる組織運営に役立つのではないかと思いました。

 創造性発揮へのヒントを一言。月並みですが、イデア実現のための粘り強さです。多くのエピソードが盛り込まれていてこの本は非常に参考になりますが、P.210のエピソードが最も印象に残りました。それは通学路道路へのガードレールの設置、という話です。当初、緑を残したいという通学路側の町会の要望を理由に区が設置を断った状況がありました。そこで、著者らはPTA活動たよりで通学路を特集して、その状況を訴えることにしました。その広報誌に、通学路にガードレールがない状況だけでなく、気を付けるべき場所や注意点を盛り込んだ地図を載せました。さらに、その広報誌を区の幹部にも配布しました。その結果、町会トップ、出張所長、区担当者、校長、PTA会長が集まる機会がうまれ、それをきっかけにガードレールが設置されたというエピソードです。なお、PTA仲間にも一軒一軒協力のお願いにもまわったそうです。「子どもを含めた安全のためにガードレールを!」と叫ぶのはそれほど難しくないと思いますが、ここまでの行動はなかなかできないのではないでしょうか?(行動が大事だとは知るのと、実際に行動するのはかなりの隔たりがあります。)